キャンプ等で使用する焚き火台にColemanのファイヤーディスク(レギュラーサイズ)を購入した。この選択は正解だった。高揚感が抑えられない。
喜びを表現するために町中を全裸で走りたい。ファイヤーディスクで下半身だけを隠して走りたい。アキラ100%コールマンファイヤーディスクバージョンをやりたい。
それほどまでに焚き火台をこれ(Colemanファイヤーディスク)にして正解だったなぁと考えているのだが、素っ裸で外に出るには少し寒い季節(執筆時12月上旬)になってきたので、やむを得ずこの気持を文章にしたためることにする。
Colemanファイヤーディスクはよく燃える
Colemanファイヤーディスクでの実際の焚き火の様子の動画だ。
ファイヤーディスクは浅いお椀状の形だ。囲みなどは無い。力士が優勝したときに祝い酒を飲む盃に似ている。
浅いお椀状の焚き火台は、平らな地面で焚き火をするのと大きな差はない。燃焼のための通気が妨げられることはない。
そもそも焚き火台は地面(自然)に直火によるダメージを与えないために用いられるものだ。
焚き火台はスノーピークが最初に作ったと言われている。スノーピークのページに焚き火台開発物語的な、プロジェクトXっぽい記事が載っているので、興味のある方はどうぞ。
90年代前半、キャンプ場に見られた
黒く焼け残った無残な直火跡。
「自然にダメージを与えずに焚火を楽しむ」ための挑戦。当時、地面むき出しのキャンプ場が多く存在し、焚火は直火で楽しむことが常識とされていた。石を使った効率の良いかまどの作り方や、土の上での着火方法などが教本にも書かれていた時代。しかしその後訪れたオートキャンプブームにより、芝が整えられた直火禁止のキャンプ場が数多く新設された。ルールを守らず直火で焚火を楽しむキャンパーが後を絶たず、私たちは撮影などで多くのキャンプ場を訪れる度に、黒く焼け残った無残な焚火の跡を見ては嫌悪感を覚えた。
「自然にダメージを与えずに焚火を楽しみたい」という明確なコンセプトの下、地表を守りながら焚火を楽しむためのギアの開発がはじまった。
スノーピーク 焚き火台が生まれるまで
地面にダメージが及ばなければ平べったいテーブル状の焚き火台でも良いことになる。ただし完全な平面では薪や炭が組みにくかったり、灰や火の粉が散ることも考えられる。また風を遮るものがなければ防風を考えなければならない。そのような理由があって燃焼部分に若干の囲みがあったほうが使いやすい。
地面からある程度の距離を取る、燃焼物を保持する、通気性を保つという目的のためにはColemanのファイヤーディスクは必要最低限にして十分な形だ。
Colemanファイヤーディスクを選んだ理由
選んだ理由①価格
今回は比較対処にスノーピークとUNIFLAMEの焚き火台をもってきた。それらを選ばなかった理由は後述している。それらに比べてColemanファイヤーディスクの価格の安さは魅力的だ。
執筆時点でAmazonでの販売価格は4,730円だった。価格の周りに「-46%」とか「参考価格¥8,690」とか書かれている。ワタシはこういうのに弱い。恐らく皆さんそうだろう。行動経済学の話になるが、人間は二重価格に弱い。二重価格で書かれていたらワタシは「安い、これを買えば得をする」と感じる。
何年か前にコールマンジャパンは公正取引委員会から排除措置命令を受けていた。日本の法律にはメーカーは小売店に対し販売価格の指示をしてはならないというのがある。コールマンジャパンはこれに反したというものだ。
公正取引委員会は,コールマンジャパン株式会社(以下「コールマンジャパン」という。)に対し,本日,独占禁止法の規定に基づき排除措置命令を行った。
公正取引委員会
本件は,コールマンジャパンが,独占禁止法第19条(同法第2条第9項第4号〔再販売価格の拘束〕)の規定に違反する行為を行っていたものである。
確かに以前はColeman製品は値引きが渋い印象があったが、現在ではメーカーから販売店への価格の縛りがなくなったのかも知れない。
Colemanファイヤーディスクには収納ケースが付属している。後述するスノーピークやUNIFLAMEは別売りの収納ケースを購入する必要が有る。この点でもコストパフォーマンスが高い。
ついでにバーベキュー用の専用焼き網までついている。至れり尽くせりとはこのことだ。ファイヤーディスクに炭を入れてこの焼き網をセットすればバーベキューが可能だ。ちなみに汎用の焼き網をファイヤーディスクに載せてもバーベキューは可能だ。
選んだ理由②構造の単純さ
Colemanファイヤーディスクの構造は単純だ。表面は一枚の丸いステンレス板が凹面に加工されている。深さは5センチ程度だ。折り畳み脚の取付部のリベットが6個付いていて、Colemanのロゴマークがレーザー加工されている。
焚き火台の表面は薪や炭を燃焼させる部分だ。汚れが付着する部分だが、構造が単純だと手入れがし易い。ファイヤーディスクの表面はリベット以外なにもないので手入れは非常に容易だ。重量は1.6kgしか無く十分片手で持てるので、使用後に洗い場で水洗いすることも容易にできる。
裏面は折りたたみの脚が3個取り付けられている。設営はこの脚を立てるだけだ。ファイヤーディスクに組み立てという概念はない。
選んだ理由③サイズと形が良好
後述するが、筆者はColemanのファイヤーディスクを購入する以前は、小さな焚き火台を使用していて毎回のキャンプで消耗していた。
ファイヤーディスクに薪を並べた写真だ。
ファイヤーディスク(レギュラーサイズ)は薪を入れるのに十分なサイズだ。しかも形が円形なので薪をどちら向きにするという概念も無い。
ファイヤーディスクは中心に向かって若干の凹形状になっているので、薪や炭を載せれば自然に中心に寄ってくれる。難しいことを考える必要はない。
ただしこの形は灰を捨てにくい場合が有るので注意して欲しい。多くのキャンプ上には灰捨て場が用意してある。灰捨て場がドラム缶くらいのファイヤーディスクより大きいものならその上でファイヤーディスクを傾ければ問題なく灰を捨てられる。
ところが、例えば一斗缶のようにファイヤーディスクより小さいものに灰を捨てるのは難しい。側面から灰を落とそうとすると、横に広がるので一箇所を狙って灰を捨てるのが難しいのだ。そういう場合はスコップ等で掻き出すか、一度大きな袋に入れてから移すのが良いだろう。
選んだ理由④Colemanが好き
筆者は高校生時分に「モノ・マガジン」を愛読していた。モノ・マガジンは質実剛健でトラディショナルな商品を紹介する雑誌だ。その雑誌の影響で筆者はColemanが大好きだ。
少し横道に逸れるが、モノ・マガジンで好きになったモノを挙げてみよう。Levi’s501、A2ジャケット、レッドウイング、LLBeanハンティングブーツといったものだ。実用性を突き詰めた結果の機能美のある商品の魅力をモノ・マガジンは発信し、ワタシはまともに影響を受けた。今でもこれらの商品が大好きだ。
そんなモノ・マガジンがColemanを紹介していた。Colemanのガソリンストーブや、ツーバーナーコンロや、ガソリンランタンである。
モノ・マガジンの記事を読んで高校生のワタシは「大人になったらColemanのガソリン燃料製品を買おう」と決めて、実際これらの気になっていたガソリン燃料製品は全て購入した。
実際に使用するとガソリンストーブは燃料の利便性でカセットコンロに負けるし、ガソリンランタンもLEDランタンに太刀打ちできない。それでも10年以上はガソリン燃料の製品を使い続けたが、だんだんと面倒くさくなって先日ついに全てのガソリン燃料製品を手放した。
ガソリン燃料製品は手放したがColemanというメーカーに対するワタシの好意的な気持ちは変わっていない。Colemanの創業は1900年だ。100年以上の歴史のあるメーカーで、伝統的な商品群を抱えながら、それに安住すること無く現在も使いやすくて価格の高くない商品を出し続けている。
三つ子の魂百までと言うが、高校生の頃にモノ・マガジンから受けた影響は30年経った今もワタシの中で息づいている。というわけで単純にColemanが好きというのも焚き火台にColemanのファイヤーディスクを選んだ理由の一つだ。
何も考えずともよく燃える
Colemanのファイヤーディスクは何も考えずに適当に薪をセットして火を付けて、時々薪を足してやれば本当によく燃える。
たまに「通気性が良すぎて薪が燃えるのが早すぎる」というレビューを見ることがあるが、これは欠点では無い。通気性が良くて薪がよく燃えるならそれに越したことはない。薪の消耗が早すぎる場合は薪を追加投入するペースを落として火の勢いを抑えれば良い。
お椀状の深さが深すぎないので、炭を入れて網を載せればバーベキューもできる。バーベキューを食べ終わったらそこに薪を入れれば焚き火ができる。ロストルは無いので、灰が溜まりすぎた場合はスコップ等で出せば良い。ワタシは今まで灰が溜まっても焚き火に支障はなかった。
というか少し風が吹くと灰がどんどん飛んでいくので灰があまり溜まらなかった。風の影響は受けやすいので、必要に応じて陣幕等の使用も検討する必要が有る。
Colemanファイヤーディスクの収納時は厚みは10cm程度だ。しかも単純な形状で鉄板の厚みはそれなりに有るので雑に車に積み込んでも変形はしにくそうだ。
これ一つでバーベキューと焚き火が出来るので荷物も減って嬉しい。
購入検討対象① スノーピーク焚き火台L
スノーピークの焚き火台を検討しながらも選ばなかった理由を書いていると長くなったので別記事にした。
検討検討対象②UNIFLAME ファイヤグリル
二番目の検討対象はUNIFLAMEのファイヤグリルである。価格は税込み7500円でスノーピークに比べれば非常にリーズナブルと言える。
UNIFLAMEのファイヤグリルは大人気だ。キャンプ場でよく見かける。ワタシのキャンプ仲間でも二人がこの製品を使用している。二人とも大満足で使用している。特に不満は無いようだ。
重量は2.7kgだ。持ち運ぶのに苦になる重さではない。
ファイヤグリルの形状はバーベキューを行うのにも最適だ。ファイヤグリルに炭を投入して上に網を乗せればバーベキューができる。そのまま網を外して薪を投入すれば焚き火ができる。
サイズも37.5cm×37.5cmとなっており、薪を入れるのに十分な大きさだ。
そもそもUNIFLAMEというメーカーは良い。この記事を読んでとても好感を持っている。
商品にも、メーカーにも、価格にも不満は無い。UNIFLAMEのファイヤグリルを買おうと思っていた。しかし購入に至らなかった。購入に至らなかった理由は以下の通りだ。
ワンプライス販売はいつ買っても良い→先延ばしになりがち
UNIFLAMEのファイヤグリルはAmazonを始めとする多くの販売店で販売価格が7,500円だ(執筆時点)。
日本ではメーカーが小売店に販売価格の拘束をすることを独占禁止法で禁じている。
日本では、商品を製造したメーカーは、一度、その商品を卸業者や小売業者に販売するときに「この商品は、希望小売価格で売ってください」とか「値引きはしないでくださいね」といったお願いをしてはいけないことになっています。
東京富士大学
法律用語ではこれを、「再販売価格維持行為の禁止(独占禁止法2条9項4号、同法19条)」といい、ビジネスにおける公正な競争を守る法律である独占禁止法がこれを規制しているのです。
UNIFLAMEのファイヤグリルがどのような方法で小売店に7,500円の販売価格を守らせているのかはわからない。この記事ではその事は気にしない。とにかくUNIFLAMEのファイヤグリルはいつどこで買っても7,500円なのだ。稀に7500円より安く販売しているところも有るが、そういう場合「ニセモノ?」という疑いを抱く。
価格が変動する場合は衝動買いをしてしまう場合がある。例えばAmazonで普段は7,400円から7,600円の辺りで販売されているものが不意にタイムセールで6,900円になっていたら飛びついてしまうような場合だ。
価格が変動しない場合はいつ買っても価格が同じだという安心感が有るので、衝動買いをすることは少ない。キャンプの予定が入っていなければポチる必要は無い。キャンプの直前に購入しても価格は一緒だからだ。
そしてキャンプの直前になったら「今月は色々と買いすぎたから、今回のキャンプは古い焚き火台で我慢しよう」となって購入を先延ばしにしがちである。
ワタシは「焚き火台はUNIFLAMEのファイヤグリルにしよう」と約2年前に決定しながら、上記の理由で購入を先延ばし先延ばしにし続けて、結局買うことが出来なかった。
ワンプライス販売は価格が安定しているがゆえに購入の踏ん切りがつきづらいという特徴があるなと実感した。
ちなみにUNIFLAMEのファイヤグリルは専用収納ケースが別売りで販売価格が2,200円くらいだ。
ファイヤグリルを持ち運ぶなら収納ケースは必須だが2,200円というのは地味に高い。セット販売もされているが、ファイヤグリルの7,500円とケースの2,200円を合計した通りの9,700円となっている。セットでも全く値引きは無い。
スポーツ用品店のヒマラヤはUNIFLAMEのファイヤグリルを購入した場合、収納ケースを100円で購入することができる。収納ケースはUNIFLAME製ではないが、UNIFLAMEのファイヤグリル専用にヒマラヤがオリジナルで作成したものだ。
これを単品で購入することは出来ないが、セットで100円は破格なので、UNIFLAMEのファイヤグリルの購入を検討している方は、一考の価値があるだろう。
オマケの焚き火台を使い続けていた
ダッチオーブンとセットの焚き火台
もともと他の焚き火台を持っている。10年くらい前から持っている。Colemanの焚き火台だ。
Colemanのダッチオーブンを購入したらオマケとして無料でついてきたような記憶があった。
10年くらい前の話なので、記憶が定かでは無い。インターネットで調べると私が購入したのはダッチオーブンスタートパッケージと言うものらしい。
ダッチオーブンスタートパッケージとはダッチオーブンと、ダッチオーブン用のスタンド、そして焚き火台のセットだ。
「キャンプ飯はダッチオーブンで作るべし」キャンプを始めた頃にインターネットで仕入れた情報だ。素直なワタシはこれを鵜呑みにしてキャンプ開始後すぐにColemanの10インチのダッチオーブンを買いに行った。
おそらくそのときに「お、ダッチオーブンスターターセット?焚き火台まで付いてお得じゃないか!こういうのでいいんだよ!」というノリでセットを購入したのだろう。
セットだけあって、焚き火台とダッチオーブンのサイズはジャストフィットだった。
ちなみに最近はダッチオーブンをキャンプに持っていくことは無い。重すぎるのだ。一方焚き火台は毎回のキャンプで使用した。焚き火台として、炭を入れてバーベキューグリルとしてキャンプで大活躍した。
薪を焚べるにはサイズが小さい
この焚き火台が小さい。サイズ比較用にオハヨー牛乳を置いてみた。
1リットルの牛乳パックがちょうど収まるサイズである。ダッチオーブンを乗せるのにちょうどいいサイズで作られているようだが、薪を乗せるとにはちと小さい。
約32センチの薪を載せてみた。32センチというのは薪としてはごく標準的なサイズだが、Colemanの小さな焚き火台に載せると薪がはみ出すのだ。
この状態で焚火を開始すると、はみ出した部分がやがて下に落ちて地面を焦がすことになる。そもそも焚き火台を使用する目的は「焚き火で地面を焦がさない・芝等を守る」ためなので、これでは焚き火台を使用する目的が達成できない。
焚き火の時間というのはキャンプの中でもリラックスできる時間のはずなのに、この焚き火台で焚き火をすると、燃える薪が崩れて下に落ちるんじゃないかと気が気でなく全然リラックスできない。
薪をくべるには色々と気を使った。薪を斜めにセットすればかろうじて収まるのだが、最初の一本を斜めにセットすると二本目からの薪がセットしにくい。
快適に薪を組むには予め薪を半分のサイズにカットする必要がある。
やむを得ず、キャンプに行ったら毎回のこぎりで薪をカットしていた。テントの設営が終わったら休む間もなくのこぎり作業に取り掛かる。
一生懸命のこぎりでカットした薪は明日の朝には燃えて灰になっている。灰になっていく物にのこぎり作業という労力をかけるのは精神的に堪える作業だ。
シベリア送りになったドストエフスキーはエグい強制労働をさせられた。午前中に穴を掘って、午後にその穴を埋めるという作業だ。翌日には灰になる薪に労力をかけて半分にカットするのはこの強制労働に通じるものが有る。
のこぎり作業がつらすぎて、マキタの電動ノコギリを買おうかしらとまで考えた。電気の力を借りれば薪のカットで精神を止むことはなくなるだろう。
だがそこで我に返った。薪を焚き火台に合わせて小さくするのではなく、薪に合うサイズの焚き火台にするべきなのでは無いだろうか。薪を切るためだけに電動のこぎりを本当に購入してしまったら、恐らく私はすでに発狂している。
またこのファイヤーステージはひずみがひどかった。
おわかりだろうか。4本の足のうち一本が浮いている。焚き火台が今にも歩き出しそうな体制になっている。このままオハヨー牛乳の配達に行ってしまいそうだ。
このファイヤーステージには熱による歪を低減する“スプリットコーナーテクノロジー”が搭載されているという触れ込みを何処かで見た覚えが有るのだが、私の所有するファイヤーステージにはそんなテクノロジーは通用しないらしい。ぐねりと歪んでしまっている。
新しい焚き火台を買おう。薪を半分に切らずとも乗せることが出来できるサイズで、熱で歪むことの無い焚き火台を買おうということになったわけだ。