Colemanのファイヤーディスクを買った理由という記事を書いている。その途中でスノーピークの焚き火台にしなかった理由を書いていたら長くなりすぎた。ここに別記事としてスノーピークの焚き火台を買わなかった理由をまとめた。
キャンプ用品のトップブランド スノーピーク
キャンプ用品を選ぶ際に意識せざるをえないキャンプ用品メーカーが有る。スノーピークだ。キャンプ用品のトップブランドと言って間違いない。スノーピークは多くの独創的で魅力的なキャンプ用品を開発販売する。
例えばペグハンマーを見てみよう。スノーピークのペグハンマーは打突部に銅が施されていて、外観も特徴的な形である。スノーピークの公式ページで7,040円で販売されている。
打突部の銅が打突の際の衝撃を吸収するため、手に伝わる衝撃が和らいで安全確実にペグを打ち込めるという触れ込みの商品だ。
衝撃を吸収してしまったらその分ペグを打ち込む力が弱まって効率が悪いのでは?などと考える人も居ると思うが、細かいことは置いておく。
スノーピークのペグハンマーは良い。まず見た目が格好良い。打突部と本体に異なる素材があしらわれることで、ひと目見て「スノーピークのハンマー」ということがわかる。打突部の銅は衝撃吸収の効果だけでなく意匠性という意味も大きい。
スノーピーク製品はそれを模倣したコピー商品が数多く作られる。Amazonを検索するとスノーピークのハンマーとそっくりの商品が数多くヒットする。メーカーは聞いたことのないものが多い。価格は半額以下だ。
コピー商品が数多く作られるのはスノーピークがトップブランドであるがゆえの現象と言えるだろう。コストを考えなければスノーピーク製品を買えば間違いは無い。ただしほぼ間違いなくコストは類似商品よりも高くつく。
焚き火台のフラッグシップ
単品で17,600円
今回スノーピークの焚き火台が欲しかったにも関わらず買わないことにした経緯を書きたい。スノーピークの焚き火台を見てみよう。
価格は17,600円である。焚き火台としては最高クラスだ。間違いなく焚き火台のフラッグシップと呼べる。重量もすごい。5.5㎏ある。ワタシの場合この焚き火台を使用することを想定すると購入するのはこれだけでは済まない。
バーベキューもやりたい
キャンプではバーベキューと焚き火の両方を一台の焚き火台でやりたい。バーベキューコンロと焚き火台をそれぞれ持っていくのは大変だからだ。焚き火台の1台2役で済ませたい。炭火でバーベーキューをして、お腹がいっぱいになったら炭火の上から薪を投入するのだ。
スノーピークの焚き火台は四角錐状である。炭を入れてバーベキューをするには底上げをする必要が有る。底上げをせずに炭を投入するには、下部の三角部分を炭で満たす必要があり、炭が大量に必要になるだろう。
底上げのために必要になるのが専用の炭床だ。これもスノーピークが販売している。
炭床ProLという商品で、価格は税込み5,500円である。重量は3.9kgとある。価格も重量もさすがスノーピークである。炭床だけでバーベキューコンロが買えてしまいそうだ。焚き火台と炭床を購入すると合計23,100円となる。重量は合計で9.4kgとなった。
別売りケースが必要らしい
ところがまだまだスノーピクは緩めてくれない。
スノーピークの焚き火台にはケースが付属する。この付属のケースの評判がよろしくない。強度が心許ないのだ。それを補うためか、スノーピークはオプションで専用ケースを販売している。その専用ケースの商品レビューを見ると、付属ケースの心許なさが伝わってくる。
焚き火台と炭床の合計重量は9.4kgもある。一緒に持ち運ぶには頑丈な収納ケースが必要だろう。レビューを見ると別売りの専用ケースは頑丈そうだ。「焚き火台L コンプリート収納ケース」という名称で価格は6,380円である。
セットでほんの少し安くなる
ここまでで、スノーピークの焚き火台関連の合計金額は29,480円になってしまった。だが少し安くなるセットも有る。今まで紹介した焚き火台本体、炭床、収納ケースに加えてベースプレートなるものまでセットになって28,380円というセットだ。その名を「焚き火台Lスターターセット」と言う。
スターターセットでベースプレートまで付いて1,100円安くなる。ベースプレートは単体で3,300円なので、これも計算に入れれば4,400円安くなる計算だ。
ベースプレートは焚き火台の隙間から落ちる火の粉や炭のかけらが地面に触れるのを防ぐ目的で使用するものだ。ベースプレートは無くてもいいからセットをもう少し安くして欲しいというのが正直な感想である。
スノーピークの焚き火台でバーベキューや焚き火をするなら28,380円かかるという結論が導き出された。
スノーピークを買わない理由がある
価格と重量が問題
スノーピークの焚き火台は良い。格好が良い。誰が見ても「スノーピークの焚き火台」ということがわかる。ブランドパワーと言うものだろう。もちろん実用性も高い。重量はそのまま品質に現れる。重いということは頑丈に出来ていると考えて良い。
収納性も良い。収納時にはペタリと平べったくなる。車に積むときや倉庫にしまうときにも邪魔にならないだろう。
しかし「じゃあポチろう」とはいかない。先程長々と書いたように価格が高い。セットにすると28,380円というの焚き火台としては他の商品とは比較にならない高額だ。重さも問題だ。重いアイテムというのは持ち出さなくなる可能性が高い。ダッチオーブンは持ち出さなくなったし、一眼レフも防湿庫に眠っている。
ブランド自体への抵抗感
「スノーピーク」というブランド自体にも若干の抵抗感が有る。スノーピークだから良い製品というのは十分承知している。スノーピークがこれまでブランドイメージを高めてきた結果だ。企業努力である。
キャンプはカネがかからない遊びだと思っている。キャンプは金をかけない分自分自身の手間をかけて、その手間のかかり具合を楽しむ遊びだと思っている。
テントを立てたり、キャンプめしを作ったり、暖を取るために薪を燃やす。キャンプにおける手間の全てはそのまま全てカネのかからない遊びなのだ。
遊びに手間をかけたくなければカネをかければ良い。ホテルに泊まればテントを張る必要など無い。レストランに行けばキャンプめしなど作る必要はない。キャンプはカネを使わず自然の中で不便を楽しむ牧歌的な遊びのはずであった。そこに資本主義が入り込む要素は無いと思っていた。
資本主義にまみれたキャンプ
それは間誤った考えだった。現在のキャンプ場は資本主義にまみれている。
キャンプ道具は単純な作りで修理をしながら長年使用して、不便な道具を工夫しながら使っていくものだと思っていた。
財力の有るキャンパーは新品同様のピカピカで高価なアイテムを誇らしげに使っている。テントやギアがその所有者の財力を示すための道具になっている。毎年のように新しいアイテムが発売される。
最新のキャンプ場はテントを持参せずとも宿泊できるところがある。グランピングと呼ばれるものだ。カネを積めばホテルかと見紛うような豪華なテントに宿泊することができる。カネを積めば手間のかからないキャンプ遊びを楽しめるのだ。焚き火台や食材なども持っていかずとも、金を出せば串に刺さったバーベキューの食材が用意され、翌朝も目を覚ませばモーニングが運ばれてくる。
資本主義はカネを詰める人間に良いものを手に入れる権利をもたらす。今の日本は資本主義社会でありその事自体に異存はない。スノーピークは資本主義社会で生き残るために高付加価値で高価格な商品を出しているだけで、スノーピークに全く罪は無い。全く罪は無いのだが、スノーピークのように突出して価格が高く品質の良いアイテムを出すメーカーは資本主義の権化のような存在である。
焚き火台に限った話ではないが、高価格のアイテムをキャンプ場に持ち込むのは、資本主義ゲームへの参加宣言の様に感じる。
スノーピークのアイテムを考えなしに使用するというのは、原始的で牧歌的なキャンプ遊びを否定し、資本主義的なキャンプ遊びを全面的に容認してそこに身を任せてしまうような危うさを覚える。
カネのないワタシはそういう屁理屈をこねてなるべくスノーピーク製品からは距離を置くようにしている。
コピーの焚き火台は使いたくない
スノーピークの焚き火台は重量があり価格が高いのが欠点だが、デザインは良く収納性も良好だ。これを真似したコピー商品も数多く出ている。Amazonを少し検索すれば数多くヒットする。
これなど見た目はスノーピークにそっくりで、高さ調整フレームや網まで付属している。スノーピークでも同等のものがセットで売られているが価格は41,140円だ。
スノーピーク製品と比較すると実に65%オフという形だ。コピー商品の評価は400件を超えて高評価が多い。
いくら安いとは言えワタシはこれは使いたくない。
この焚き火台の形のオリジナルはスノーピークなのだ。スノーピーク製以外はいくら形が似ていてもスノーピークのまがい物である。
コピーを使うと、ワタシは以下の宣言をしていることになる「スノーピークが欲しかったけど、ケチだしカネも無い!でも見栄は張りたいからコピーを買っちゃう浅ましい人間です。資本力は無いけど虚栄心は満たしたい人間です。どうにか資本主義ゲームに着いて行きます。」という宣言だ。
たとえコピー商品が誰にもバレないくらいにそっくりだとしても、この宣言はキャンプ中ワタシにつきまとうことだろう。コピーの焚き火台を見るたびに「俺は浅ましい人間だ」と自分自身に再確認させられることだろう。そういう思いはしたくないのでコピー商品は買わない事にしている。
キャンプでは資本主義的な現世から一時的にでも逃れて、資本力の絡まない原始的な遊びをしたいのだ。資本主義的虚栄心を発揮したいならキャンプに行かずとも、Instagramでブランド品自慢でもしていれば良い。