メルカリで「思考盗聴器」を検索してはならない

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思考とは何か

思考とはなにか。Wikipediaによると以下のようにある。

思考(しこう、(英: thinking)は、考えや思いを巡らせる行動であり、結論を導き出すなど何かしら一定の状態に達しようとする過程において、筋道や方法など模索する精神の活動である。

Wikipedia 思考

思考の項目はこの後も哲学的なことが長々と記載してあるのだが、要するに思考とは頭の中で考える事だ。頭の中で考えている事は他人には分からない。思考をアウトプットするには自分自身が書いたり、話したり、動いたりするしか無い。

思考を他人が読み取ることはできない。これは自信を持って言える。思考を他人に伝えるには自分で外部に取り出す必要が有る。これが常識である。人間社会のコンセンサスである。

ちなみに「顔に書いてある」とか「目は口ほどに物を言う」という慣用句が有るが、これは表情として外部に情報を出している状態である。しかも表情で伝わる情報は思考と呼べるほどの容量ではない。感情といったほうが適切だろう。感情が表情に現れているのが「顔に書いてある」状態である。

思考盗聴防止ザル

ところがこの「思考は自分しかわからない」というコンセンサスを疑ってしまいそうな出来事があった。

きっかけは何だったか忘れたが「思考盗聴」というキーワードをメルカリで検索してしまった。ほんの出来心だった。ヒットしたのは「思考盗聴防止ハーモナイズ用ザル」である。27万円である。思考盗聴を防止できるザルが売られているのである。

写真を見たらただのザルに見えてしまう。DAISOに行けば買えそうなザルに見える。

メルカリ

というかDAISOで売っていた。全く同じと思われるものがDAISO公式ネットストアにラインナップされていた。

DAISO 公式通販 ダイソーネットストア

27万円の商品がDAISOでは100円で購入できる、やったー!という話ではない。

「100円のザル」が「思考盗聴防止ハーモナイズザル」として27万円で売られているのだ。

どうやって思考盗聴防止に使うのだろう。頭に被るのだろうか。ざるを被ると大きくなれないと言われているが、通気性は悪くなさそうではある。現在のところ売れていない。購入してしまった人が居ないことに安堵した。

思考が読み取れるなら便利だ

重ねていうが思考は盗聴されるようなものではない。思考が盗聴されるかもしれないなどと心配してはならない。そんな事を心配し始めると何も出来なくなってしまう。

仮に思考が外部から読み取れるなら便利になる可能性もある。

PCなど使わなくてもAmazonでプロテインを注文できる。
(´-`).。oO(プロテインが切れたから持ってきて欲しいなー)と思考するだけでいい。
迂闊に色々欲しいものを思考しすぎないように注意しなくてはならない。

妻との会話も思考を送ればいい。
(´-`).。oO(今日晩御飯どうする?)
( ˘⊖˘).。oO(外食がいい)
(´-`).。oO(金無いよ!贅沢に育ち過ぎなんだよデブ)
( ˘⊖˘).。oO(何だよケチ甲斐性無しハゲ)
(´-`).。oO(うるせえブス黙れ)
( ˘⊖˘).。oO(結婚失敗したわこんな雑魚と一緒になるんじゃなかった)
思考なので余計なことを考えていると喧嘩に発展する危険性が有る点に注意したい。

子供の頃は思考を盗聴されている可能性について考えたことがある。思考を盗聴されている気がして、仮定の盗聴犯に向かって
(´-`).。oO(ボクの思考を盗聴しているんだろ?ボクは気づいてるよ、出てこいよ)
などと思考していた。こうすることで時々思考盗聴犯を牽制していたものである。しかし
|ω`).。oO(ボクのことがわかるのかい?大変なんだ、地球はあと1時間で滅亡するんだ)
などというヤツは出てこなかった。だれも出てきてくれなかった。子供の妄想である。

思考は外部からは読み取れない。思考盗聴は要するに妄想である。被害妄想である。思考盗聴被害を訴える人は心の病の可能性がある。27万円のザルは病につけ込む卑しい商売なのである。

心の病につけ込んでゴミを売りつける

ワッシャーを高く売る方法

卑しい商売はメルカリ内に多数存在する。思考盗聴防止ハーモナイズザルの関連に売り切れの商品があった。思考盗聴対策を謳うシルバーリングである。

メルカリ

商品名は「思考盗聴 集団ストーカー 5G 電磁波攻撃 防止 シルバーリング」と書いてあるが、見た目はワッシャーに見える。というか絶対にただのワッシャーだ。ホームセンターで20枚50円位で手に入るワッシャーだ。

送料込み555円で売れている。27万円よりは安いが悪質なものに変わりはない。

廃棄基盤を高く売る方法

他にもある。対策機と名付けられた15,000円の基盤だ。

こちらの商品は売り切れとなってしまっている。ただの使用済みの基盤と思われるものだが、誰かが15,000円で購入してしまったようだ。

商品説明には思考盗聴を防いでくれると有る。効果絶大でしたとまである。使用方法は置いたりキーホルダーにするらしい。このような商品はメルカリ上に無数にある。

思考盗聴は理解されにくい問題です という優しげな言葉

卑しい商売が存在するのはメルカリの中だけではない。インターネット上には無数の怪しい商売ページが存在する。

例えば思考盗聴で検索すると「思考盗聴対策センター」なるサイトがヒットする。一見するとまともなサイトに見えてしまう。

思考盗聴や脳内盗聴はあなただけでは有りません。
思考盗聴は理解されにくい問題です。
1人で悩まず今すぐご相談ください。

思考盗聴対策センター
思考盗聴対策センター

しかしそもそも「思考盗聴」などできないのだから、被害など発生しようがない。思考盗聴被害を訴える人には心療内科等の受診を勧めなければならない。思考盗聴被害を商売にしようというのはまともなサイトではない。

怪しいサイトのフォーマットが存在する

X(旧ツイッター)に興味深いつぶやきがあった。

思考盗聴対策センターと同じテンプレで電磁波や集団ストーカー対策を謳うサイトがあるというのだ。検索してみる。

本当だった。これらのサイトの共通点として、最終的にはフォームに個人情報や連絡先を入力させるという点があった。

心の病を抱えている人の個人情報を入手してその先の商売につなげるということだろう。

探偵が逮捕されている

思考盗聴の対策を謳って現金をだまし取った探偵会社の社長が逮捕されている。

「思考が他人に盗まれている」とうそをつき、調査費用を詐取したとして、警視庁は13日、探偵会社社長の男(49)(東京都港区芝浦)を詐欺容疑などで再逮捕した。

警視庁発表によると、男は2020年7月、岩手県内のカラオケ店で、「電波を照射されて思考を抜き取られている」と相談してきた20歳代男性に、「照射した相手を特定できる」などと偽り、調査費名目で現金計約75万円をだまし取った疑い。

 男は会社ホームページで「思考盗聴」の調査を請け負うなどと宣伝し、相談を募っていた。

読売新聞 2022年12月14日

だまし取った金額は75万円とある。27万円のザルより高い。相談者は心の病の可能性が有る。藁をもすがる思いだったのだろう。男はホームページで思考盗聴の調査を請け負うと宣伝していたようだ。

インターネットは楽しい空間だが、正体不明の魑魅魍魎が跋扈している。絡め取られないようにしたい。