モノを紛失するのは人間としては高性能な証だった

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運転免許証を3回再発行

ワタシの運転免許証を見てほしい。

優良運転者なのを自慢しようというのではない。

番号として記載されている12桁の数字の末尾が【3】と記載されている。

有名な話だがこの数字は運転免許証の紛失による再発行回数を示している。

運転免許証を1回も紛失したことのない人はここの数字はゼロだ。

1回だけ紛失して再発行した人はここの数字は1になる。

ワタシは3だ。つまりワタシは今までに運転免許証を3回紛失して再発行したということを示している。運転免許証は代表的な身分証明書であり重要なものなのだがこれをワタシは3回も紛失しているのだ。

財布をしばしば失くす

3回とも運転免許証は財布に入れた状態で紛失した。つまりワタシは財布を3回失くしているのだ。財布に入っているのは運転免許証や現金だけではない。クレジットカード、キャッシュカード、TSUTAYAの会員証、健康保険証等々失くしたらやばいものが財布に入っている。ワタシはこれらを3回も紛失している。

その度にクレジットカードやキャッシュカードを止めて、TSUTAYAに連絡し、再発行のために運転免許センターや銀行に出向くという途方もない作業を行っている。自信を持って言うことではないが、ワタシはモノをよく失くす。

無意識に動くのはまずい

モノを失くす原因の一つは「無意識に何処かに置く」事だと考えている。

意識して所定の場所にモノを置くことができれば、そのモノが無くなる可能性は低い。帰宅したら車のキーは玄関のカギ置き場に置いておけば、翌朝車のキーはそこにある。探す必要はない。ところがワタシは帰宅して車のキーを無意識で何処かに置いてしまうのだ。そして翌朝家中を捜索することになる。

「無意識」というのが犯人である。無意識に行動するというのはまずい。人間は意識が全ての行動を司るべきであるように感じる。無意識で行動するというのは夢遊病のようなものではないか。

意識はごく一部

ところが先日読んだ本には逆のことが書いてあった。それは「意識は人間のほんの一部、人間はほとんど無意識で動いている」という内容だ。

「あなたの知らない脳 意識は傍観者である」の内容を一部紹介する。この本によると我々はほとんど無意識で動いていて、身体の動きのうちで意識が司るのはごく一部だというのだ。

我々がほとんど無意識で動いているというのは、にわかには信じがたい話だが、無意識で動いている部分があるというのは想像はつく。例えば心臓の鼓動に関しては意識は関係ない。意識して心臓を早く動かしたり止めたりということはできない。

呼吸はどうだろうか。意識して呼吸を止めることはできる。しかし普段意識して呼吸をするということは無い。「息を吸おう」「息を吐こう」などと1日中考えている人は居ない。まばたきにも同じことが言える。「目が乾く前にまばたきしよう」とは考えない。勝手にぱちくりやっている。

歩行はどうか。意識しなければ歩けないような気がする。しかし歩きながら「次は右足」「はい左足」「右足ちょっと段差ある」などとはやはり意識しない。移動の際は身体が勝手に歩いている

食事のときはどうだろう。「左手で茶碗を持とう」「箸で肉を掴もう」「そのまま肉を口に運ぼう」などと考えるだろうか。そんなことも無いだろう。何も考えなくてもあなたは茶碗と箸を手に取り、おかずを箸でつまむのだ。考えることと言ったら「このソース美味しい」「この肉硬いな」といったことだろう。

スターバックスで席を探す

シチュエーションを想像してほしい。空席が僅かにあるスターバックスコーヒーの店内で、キャラメルマキアートを注文して店内で飲もうと思っている。あなたはレジで支払いを行い、キャラメルマキアートを右手で受け取って、空席を探しながら混み合った店内を歩いている。左手にはMacBook Airを持っている。あなたは何を意識するだろうか。「あそこの席が空いている」とか「あそこは落ち着けそうにない」といったことだろう。

「右手のキャラメルマキアートがこぼれないように水平に保持しなくちゃ」とか「通路に置いてある邪魔なカバンをまたがなくちゃ」とか「MacBook Airを落とさないようにしっかりと持っていなくちゃ」などとは一切考えない。これらの事は一切考えなくても身体が自動的に動いてくれている。あなたの意識は席を確保することだけに向けられている、あなたの身体はほとんど無意識のオートメーションで動いている。以上のような内容が「あなたの知らない脳 意識は傍観者である」には書かれている。

自動車の運転もほとんど無意識

そう考えてみると我々は無意識で色々と高度な事をやっているなと思い起こされる。例えばあなたが自動車に乗り込んだ時を想像してほしい。

「右手でドアハンドルを引いてドアを開けよう」「シートに座ってシートベルトを右腕に通した後にプレートをバックルにカチリと音がするまで差し込もう」「カギを鍵穴にまっすぐ差し込んで右に回そう」などと考えているだろうか。考えていないだろう。これらの事はあなたの意識が考えなくても身体が勝手にやってくれている。自動車に乗り込んだあなたは車の操作のことなど全く考えていない。次の予定の事を考えている。

もちろん運転免許を取得するために教習所に通っていたときにはこれらの事を意識しながらでないとできなかった。一つ一つの動きを考えながら行っていた。しかし同じ動きを繰り返すにつれてあなたは無意識でも複雑な動きをできるようになるのだ。

無意識に動くための訓練

本書では無意識に身体が動くのは重要だと解く。スポーツ選手が練習を重ねるのは無意識で適切な動きができるようにするためだそうだ。大谷翔平は「あ、ボール来た」「ちょっと低めだけどいけそう」「遅めのタイミングで打とう」などと考えない。打席の際に集中力を高めるのも無意識で身体が動くようにするためだ。大谷翔平は投手が投げたボールを無意識で打ち返す。意識が介入すると逆に打てなくなってしまう。身体の動きに対して意識が介入するとスランプに繋がる場合もある。

つまり我々が身体運動をするうえで「意識」は大きな役割をしておらず、「無意識」が身体の運動の多くを司っている。「無意識で動く」というのは人間にとって当たり前であり重要なのだ。人間は高度なオートメーションによって支えられていて、意識はその上で考え事をしている状態である。

モノを失くす人間の工夫

ワタシはこの事を知って赦された気がした。何しろ子供の頃から忘れ物をしたり、モノを失くしてしまう事が多いのだ。ワタシは財布も数度失くしたため、いぜんから自分なりに対策を行っている。財布をチェーンのようなものでベルトに付けるのはあまり意味が無かった。チェーンを取り外して何処かに置いてしまうからだ。かといって財布単体を持ち歩くと失くす可能性が高い。

そこでワタシが考えたのは、カールワイヤーで財布をボディーバッグに連結して決して単体では持ち歩かない事にした。↓こういう状態である。

そして遊びの時も仕事の時も常にこのバッグを肌身離さず持ち歩くようにしている。正直ボディバッグは仕事用としてはカジュアルすぎると思うのだが財布を失くすよりはマシである。財布が中学生っぽいのには目をつむってほしい。普通の財布はカールコードを付けられるようになっていない場合が多いのと、何度も財布を失くしたので高い財布を買う気力がなくなってしまったのだ。

仮に遊びと仕事でバッグを使い分けたら絶対に財布を失くす。バッグの切り替えの際にきちんと中身を移し替える自信が無い。財布の入っていないバッグで出かけてしまうのが目に見えている。その間に財布が失くなってしまいそうだ。

最強の武器 AirTag

上記で紹介した書籍「あなたの知らない脳 意識は傍観者である」を読んで赦された気がしたワタシだが「モノを失くしやすい」という欠点が補われたわけではない。モノを無意識に何処かに置いてしまう傾向は変わらないままである。そんなワタシの弱点を補ってくれる武器を手に入れた。AppleのAirTagである。

ワタシはこのAirTagを車のキーとボディーバッグに取り付けている。

Apple AirTagの詳しい説明は省くが、AirTagを手に入れてからワタシのQOLは大幅に上がった。今まで朝出勤時に車のキーが見つからずに家中を捜索することがしばしばあったが、AirTagを取り付けているお陰でiphoneの「探す」アプリを立ち上げるだけで速やかに見つけることができるようになった。

また外出先等でふと「あれ?ボディーバッグをどこへやった?」という事態が発生することがある。こういう時は今までなら会社に電話して「バッグ置きっぱなしになってる?」とか妻に電話して「家にバッグ忘れてる?」などと周りを巻き込みながら大騒ぎしていたが、やはり「探す」アプリを立ち上げるだけで「あ、車の中にある」と確認できるようになった。

Appleなのに利用料金無し

AirTagはAppleらしからぬところが2点ある。利用料金がかからない点と電池交換が自分でできる点だ。AppleならAirTagを使うには1つ月額440円(最初の3ヶ月は無料)とか平気で言ってきそうだ。もしも月額料金がかかるならワタシは絶対に購入しなかった。しかしAirTagは使用するための月額料金等がかからないのである。

また電池交換が自分でできるというのもAppleらしくない。先日Apple公認店でiphone12miniのバッテリー交換をしてもらったら12,000円かかった。「買い替えるよりは安い」と頭の中で唱えたが、以前のガラケーなら2,000円ほどのバッテリーを買って自分で交換できたのだ。ユーザーでは交換できず、交換に高額を取るAppleのやり方は酷いとしか言えない。

しかしその点もAirTagは違う。ひねるだけで簡単にバッテリーを取り外せる。バッテリーも一般に販売されているボタン電池である。

高いiPhoneを使い続けよう

AirTagの欠点を一つ挙げるとしたら、Appleエコシステム内でしか使えないということだ。Android端末ではAirTagを探せないのだ。AirTagを使い続ける限りiPhoneから離れることはできない。これが欠点であり、利用者をAppleエコシステムに留める事を目的としているために、Appleが利用料金を取らない理由でもあるのだろう。

iPhone本体の価格の上がり方が著しい。iPhone16Proは税込み159,800円である。しかもiPhoneはほとんど安売りされない。iPhoneは中古端末も値が下がりにくい。スマートホンごときにそんな大金は支払いたくない。今のiPhone12miniをなるべく永く使って、いずれはAndroid端末に乗り換えようと考えていたのだが、AirTagを使い続けるためにもうしばらくはAppleエコシステムにとどまることになりそうだ。