【街の無料PCR検査】怪しいと思っていたが、実は有益だった 陰性結果を得て労働に励む

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街で「無料PCR検査!」という看板を見たことがある。正直なところ「くっそ怪しい」と思っていた。

無料というのは大体が怪しい。「無料ですよ♪」とビンゴカードを手渡されて、気づいたらスマホを契約していた。「無料ですよ♪」とジュースを勧められて、気づいたらウォーターサーバーが家に設置されていた。「無料ですよ」と米をプレゼントされ、気づいたら35年ローンの家を建てていた、などという経験は無いだろうか。筆者は全て経験済みだ。

恐らく「無料PCR検査」も気づいたら別途登録費的なモノを取られたり、高額な人間ドックの契約をさせられたり、「あなたはお顔がブサイクだから社会にとって迷惑ですよ、美容整形なさい。っていうかシンプルに息が臭い」と侮辱されたりするんじゃないか、などと考えて近寄らないでいた。

杞憂だった。

今回無料PCR検査のお陰で安心して労働に励むことが出来た。無料PCRを頼ることになった事の顛末や無料PCR検査の様子を書く。

突然襲う長女(中1)の発熱

2022年12月4日、日曜日の事。長女(中1)が発熱である。

この日はイオンモール倉敷詣でをする予定であった。前日の土曜日には明日はどこに行く?と家族会議が行われ、多くの候補地(イオンモール岡山、イオンモール倉敷、アリオ倉敷)の中からイオンモール倉敷が選ばれていた。しかし家族の構成員の一人の発熱である。止むを得ず、その日は家族全員で自宅に引き籠もることにした。

約3年前から新型コロナの流行が始まった。風邪のような症状があれば一番に新型コロナ感染症を疑う。もしも新型コロナであれば人様にそれを感染すわけにはいかない。かと言って日曜日に病院に押しかけることも出来ない。

「新型コロナだろうか」「夜には熱が下がれば良いが」「明日は学校や仕事に行けるだろうか」「新型コロナなら家族全員濃厚接触者だな」思考が錯綜する。

我が家は以前も全員が新型コロナ(恐らくデルタ株)に感染し、10日程自宅隔離した経験がある。

今回の長女の発熱は37.3度程だ。大事を取って布団で横になっている。長女以外の家族はアマゾンプライムビデオを鑑賞して不安な日曜日を過ごした。

脱線するが、アマゾンプライムビデオでは相席食堂を全話追加料金無しで視聴可能だ。この日は相席食堂を20話ほど見た。プライムの会員料金一ヶ月分500円の元を取ったという気分になった。

相席食堂

翌日に長男(小2)が発熱

翌朝、妻の悲痛なつぶやきが耳に入り目を覚ます。「だめだわ、絶対コロナだわ・・・」時計を見ると午前6時だ。長女が発熱した翌日、2022年12月5日月曜日である。

妻が青い顔をしている。「長男(小1)が熱有るわ、今測ったら37.5度ある・・・」前日の長女に引き続き長男が発熱してしまった。

妻は長男と隣で寝ていた。「夜中から、長男、熱かったんよ・・・」と嘆いている。「絶対コロナやろ・・・ワタシらも全滅やわ・・・」世界の終わりが来てしまったような様子だ。

ワタシは妻を励ますために「コロナかどうか分からんやろ、予防接種もしてるし」と元気づける発言をした。しかし内心はワタシも「絶対コロナや、全滅や」と思っていた。

そうしていると、なんだか自分自身も熱っぽいような感じがしてきて、体の節々が痛いような気がしてくる。熱を測ると平熱であった。しかしこれから発熱するのではないかという気持ちで一杯になっている。

会社と学校を休む

我が家は子供が3人である。発熱した、長女(中1)長男(小2)の他に次女(小4)が居る。

ワタシと妻と次女は発熱はなかった。発熱は無いが、もしも発熱した長女や長男がコロナであれば、間違いなく感染っていることだろう。

ワタシも妻も仕事があるが、二人とも職場に休みを申し入れる子供三人の学校にも休みを連絡する。引き籠もり生活の再来という雰囲気が漂い始める。

症状の無い3人だけでも検査をしてもらう方法はないだろうか。陽性か陰性かいずれにしてもハッキリとした検査結果があれば身の振り方を決められる。職場にも事情を説明しやすい。インターネットで「コロナ PCR検査」を検索してみる。

発熱した二人はコロナ検査をしてもらえる。行きつけの小児科はコロナ診療をしているので、病院が開いたら発熱した二人を連れて行くことにする。発熱していない三人はそこではコロナ検査はしてもらえ無いだろう。

後になって冷静に考えれば、コロナ疑い者の濃厚接触者がPCR検査をしても大した意味は無い

コロナ疑い者の検査結果が陰性→濃厚接触者はコロナを恐れる必要は無い

コロナ疑い者の検査結果が陽性→濃厚接触者は原則5日間の自宅待機を求められ、2日目、3日目に抗原検査キットで陰性が出れば3日目から待機解除が可能になる。

家族に発熱があれば、本人は症状が無くても自宅待機をするのが望ましい。しかしいざその立場に立たされると症状が無いのに自宅で待機をするというのはなんとももどかしい

「あなたは陽性だ」「あなたは陰性だ」いずれかの宣言をしてほしいのである。仮に陽性だとしても職場等に休みを告げやすいという効用がある。「家族が発熱が有るので念のために休みます」などとは言いにくい。

今回の記事は「家族が発熱したけど自分は元気!どうしたら良いの?」そんな宙ぶらりんな立場に立たされた筆者が足掻いた体験談以上の意味はない。

無料PCR検査を発見する

PCR検査をWeb検索してみると多くの情報がヒットする。

岡山県の無料検査事業という文言が目に入る。これをクリックしてみる。

どうやら地方自治体の事業として無料PCR検査を行っているようだ。条件を確認する。

  • 無症状者のみ(有症状はだめ)
  • 濃厚接触者はだめ
  • 勤務先の指示で受ける場合は有料

現時点でワタシは症状は無い。同居の発熱者は陽性の診断は受けていない。会社の指示ではない。無料検査の条件は満たしている事になる。

近場のPCR検査センターのウェブページを開いてみる。

医療法人監修」という文言が安心感をもたらすと共に「つまり医療法人が運営しているというわけでは無いのか?」という猜疑心も生む。

無料検査との記載があるが、検査料は一人4,000円とも書かれている。どうやら勤務先の指示で検査する場合や団体検査の場合は有料の4,000円となり、前記の条件を満たせば無料となるようだ。

無料検査を予約する

居ても立っても居られないので、無料であればと早速予約をしてみる。藁をもすがる思いとはこのことだろう。予約ボタンを押すとEPARKのページに遷移した。EPARKは飲食店等の予約システムだ。

EPARKは、飲食店、理美容室、病院、携帯ショップ、市役所区役所などの自治体官公庁など国内約10万施設で利用されている国内トップシェアの順番待ちシステムです。店頭での発券に加え、WEB上での順番待ち受付や日時指定(将来順番)予約を可能にすることで顧客満足度の向上やリピート促進に貢献します。

「EPARK(イーパーク)」とは?

筆者は過去に焼肉店の予約でEPARKを使用していた。ログインはスムーズだった。

予約画面が表示される。時間の区切りが10分単位になっている。

EPARK 予約画面

早速三人分を予約する。予約は難しくない。焼肉屋の予約と同じだ。

予約完了画面

この検査場の場合、現在時刻から約10分後から予約することが可能だった。現地までの移動時間を考慮して30分後を三人分予約する。用意をして現地に向かう。

検査は梅干しの写真をみながら

PCRの検査場に到着する。車で向かったが専用駐車場は無いため近隣のコイン駐車場を利用する。この記事のために写真をとっておくべきだったのだが、このときは「陽性か?何日休む事になるんだ?」ということで頭がいっぱいだったため、写真撮影どころではなかった。一枚も写真を撮っていない。そのためストリートビューやイメージ映像を貼り付けていく。

PCR検査場のストリートビュー

PCR検査場は大きな交差点に面した立地だった。何人かの人が検査場内に入っていくのが見える。室内に入ると受付に10人ほどが並んでいる。その列に我々も加わる。

検査場の列に並ぶと次から次に検査希望者がやってくる。「コイツらコロナじゃないのか?感染すんじゃねーぞ」などと考えてしまう。自分の事は完全に棚に上げている。

来客用のスペースとスタッフのスペースはアクリルの壁で完全に仕切られていた。アクリルの壁にはマイクとスピーカーが取り付けられていて、受付のスタッフとはそのマイクとスピーカーを通して会話を行う。アクリル壁の下部には書類等の受け渡しができる穴は開けられていた。

マイクスピーカーを通して受付スタッフとやりとりする


スタッフから用紙を記入するように求められる。名前や住所、年齢等簡単な項目だった。メールアドレスも記入した。

このとき疑問に感じて今も解決していないどうでもいい点がある。検査結果はメールで知らせるということだったが、このときに手書きで記入したメールアドレスに送ってくるのか?それともEPARKで予約したときの情報をもとにメールを送ってくるのかがわからなかった。EPARKが事業者に利用者のメールアドレスを開示しているとも思えない。筆者の場合はEPARKへの登録アドレスと同じものを手書き記入したためその点の判別がつかなかった。メールアドレスを手書きするのは記入ミスや、記入文字判別不能等トラブルの原因になりそうで恐ろしいのだが、はたして検査結果のメールアドレスはEPARKのモノに送っているのか、手書きのモノに送っているのか、この点を今も疑問に思っている。どうでもいいけど。

書き終わってそのまま列で待っていると、順番が来た。透明な容器を手渡される。ダイソーの調味料入れのような容器だ。

ダイソー調味料入れ

そこに唾液を入れるよう指示された。容器には「ここまで」というメモリがつけられていた。

唾液の採取は専用のスペースに移動して自分で行う。専用のスペースと言っても立ったままで唾液を採取する場所だ。簡単な仕切りスペースになっている。ちょうど選挙の記入台にそっくりだ。

選挙の記入台

採取スペースの全面の壁面梅干しとレモンの写真が貼られていた。それで唾液の分泌を促す狙いがあると思われる。

列に並んでいるときからそのイラストは目に入っていた。

「あの梅干しのイラストで唾がでるか?私という人間はそんなに単純では無い。ばかにするんじゃない。」と思っていたが、いざ採取スペースに立ってそのイラストを見ると、よだれがドクドクと分泌された。あっという間に唾液の採取ノルマをクリアーしてしまった。

今もイラスト屋のイラストを貼り付ける作業をしながらよだれがドクドクと生産されている。唾液が出やすい体質なのだろうか?歯科治療を受けるときも口腔内に器具を入れられただけで唾液が大量にでてしまう。バキュームで吸い取ってもらわなけば自分の唾液で溺れてしまいそうになる。

唾液を入れる容器には自分で番号シールを貼り付けるように説明があった。指示に従い番号シールを貼り付けて唾液採取を行った。その容器を受付に提出して検査は終了。検査結果は当日の17時までにメールで知らせてくれるとのことだった。検査場に到着してから唾液を採取して外に出るまで所要時間は10分位であった。

発熱した二人を小児科に連れて行く

PCR検査場から帰宅し、発熱した子供二人を小児科に連れて行くことにする。電話で予約すると、小児科の駐車場についたら電話を入れるように指示を受ける。

小児科の駐車場から電話で到着を知らせると、医師が検査キットを手に駐車場に出てくる。車に乗ったままで窓を開けて検査を行う。どうやら医師が手にした検査キットは抗原検査らしい。医師が採取した検体を手に病院に戻る。我々はそのまま車で待機するよう指示される。

5分ほど待機していると、再び医師が我々の待つ車まで出てくる。

「検査結果が出ました。」

緊張して結果を聞く。

「お二人とも陰性でした。このまま会計をします。」

あっけなく陰性が告げられた。安堵である。

発熱した二人がコロナ陰性であれば、同居している無症状の私はまず間違いなく陰性だろう。

PCR検査結果がメールで届く

帰宅し昼食を摂る。「陰性で良かったよね」などと家族で話しているとPCR検査の結果がメールで届いた。無症状だった3人の無料PCR検査の結果である。「これで三人が陽性だったら嫌だね」などと言いながらメールを確認すると、無事に3人とも陰性という結果であった。

PCR検査の結果通知メール

時刻は14時20分頃である。検査から結果通知まで約4時間だった。

遅刻ながら出社する

発熱した二人は自分自身がコロナでは無いという情報を得ると、目に見えて元気になった。

発熱等のなかったワタシも自身の陰性結果を見ると安心感を覚えた。今朝感じた寒気や関節の痛みは何だったのかと思う。まさに気は心というやつである。

陰性のメールを確認してからワタシは仕事に行くことにした。自宅に待機する理由がなくなったからである。我ながら労働者の鏡だと思う。

ワタシの勤務する会社は、建前上は家族に発熱があれば出社を控えるルールになっている。今回のワタシの場合は陰性結果を得ているので安心して出社することができた。

無料PCR検査は活用する価値あり

今回検査を受けた意味があるのかと考えると微妙である。

発熱のあった二人が陽性であれば、無症状の三人は濃厚接触者で待機となる。

発熱のあった二人が陰性であれば、無症状の三人は検査を受けずとも陰性の可能性が高い。

しかし家族の発熱を受けて、自身は無症状なのに自宅で待機をするというのはなんともし難い無力感を覚える。何か自分にできることは無いかと考える。このようなときにPCR検査で自分自身が「陽性」なのか「陰性」なのかを知ることができれば、その後の選択肢が増えていくように思う。

離れて住む両親に会う前にコロナ陰性を確認したいという利用目的も考えられる。というか、そういう使い方を想定してPCR検査事業は行われている。その検査が無料で受けられるなら利用価値は高い。

PCR検査上で陽性がでた場合には保健所等や発熱相談センターに連絡して指示を仰いでほしい。