全ての出張は遊びである 但し仕事であると偽装しなければならない【フランス研修炎上】 

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女性局炎上

自民党女性局が炎上している。炎上の原因は女性局38人が参加したフランス研修だ。フランスで記念撮影してSNSにアップしていたのが燃料になっている。

特にエッフェル塔の前でポーズを取りながら撮影した写真が「研修じゃなくて遊びだろ!」という批判の原因になっているようだ。

炎上した写真

楽しそうな写真である。写真を見た瞬間、これは炎上して当然だと思った。炎上してくださいと言っているようなものだ。

偽装ができていない。出張先で記念撮影してもいい。遊んでもいい。豪華な料理を食べてもいい。出張は遊びなのだ。

ただし仕事であると偽装しなければならない。上の写真は「この出張は遊びです」と自白してしまっているのだ。だから炎上してしまった。

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出張は遊びである

そもそも出張は遊びである。出張の理由として、研修とか集会とか大会とか打合せとか商談とか言っているが、全て遊びである。出張に行ったことのある人間は全員この事を知っている。

ただし誰も「出張は遊びである」とは言わない。言ってはならないという暗黙のルールがある。出張は仕事であると言わなければならない。このルールは重い。憲法よりも重い。日本国民は「出張は遊びだ」と言ってはならない義務があるのだ。

今回炎上した写真は「出張は遊びです」と告白してしまっている。暗黙のルールを破ってしまった。だから炎上してしまった。

出張する人間は「出張は仕事だ」と偽装しなければならない。これが出張に行く者の責務なのだ。実際のところ出張というのは完全に遊びなのだ。それをどうにかして仕事だと見えるようにするというのが出張に行く者の義務なのである。遊びを仕事であると偽装する仕事なのだ。

出張で遊んだ

出張は遊びなので思う存分遊べば良い。ただし遊んでいる姿を見せてはならない。遊んでいると悟られてもならない。SNSに写真を投稿するなどもってのほかである。自分の中だけでこっそり楽しまなければならない。

ワタシがどの様に出張をしていたか振り返ってみる。

ワタシは以前労働組合の役員をしていた。全国に支部のある組織だった。年に何度かは大会や集会と称して、全国から役員を招集する。役職によっては会議や研修会と言う名目で人が集められる。これに出張や宿泊が発生する。

例えば東京で集会を朝9時から行おうとすると、遠方の人間は前日に東京に入って宿泊して翌日の集会に備える必要がある。

前日に東京入りする時間は自由だ。ホテルのチェックイン締め切りギリギリに行っても良いし、早めに行っても良い。早めに東京入りすれば時間ができる。ワタシは必ず早く行くタイプだった。というかほとんどの人間はそうする。

昼間は東京観光をして夜は仲間で集まって飲みに行く。翌日に控える集会とか大会とかはどうでもよい。メインの目的は観光と飲み会である。遅くまで遊んで翌日の集会では寝ている。労働組合の集会とはこういうものである。

ワタシも東京で集会となると嬉しかった。出張が決まるとインターネットで観光や食事の計画を立てた。前日は楽しみで寝付けないほどである。

ワタシは岡山に住んでいる。東京まで新幹線で約3時間半の距離だ。朝7時台の新幹線に乗って11時前には東京に着くようにしていた。そこから観光タイムである。

岡山に無いラーメン屋に行くのが好きだった。ラーメン二郎には何度も並んだ。三田本店にも足を運んだ。30分ほど並んで食べた。

ラーメン二郎 三田本店 2009年筆者撮影

2008年にセブンイレブンから蒙古タンメン中本のカップラーメンが発売された。岡山に蒙古タンメン中本の店舗はこの頃も今も無い。このカップラーメンの旨さにハマり、蒙古タンメン中本の実店舗にも行った。カップラーメンのほうが旨いなと思った。

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組合役員になって初めて東京に行ったときにはお台場に行った。ゆりかもめに乗車して無人運行なことに驚いた。フジテレビに行った。完全にお上りさんである。

フジテレビ 2006年9月筆者撮影

2007年に東京駅の写真を撮っていた。赤レンガ駅舎の屋根がドーム型に復元される前の姿だ。撮影したのはついこないだのような気がしていたが、15年前だと気づいて衝撃を受けた。

東京駅 2007年1月 筆者撮影

一度高速バスで岡山から東京まで行ったことがある。皇居の周りを歩いて見て回ろうと考えたのだ。これももちろん出張のときである。招集日の前々日の夜に出発する高速バスに乗った。岡山を21時に出発して翌6時に品川で降ろされた。長時間バスのシートでゆられて、体中の筋肉が痙攣を起こしていた。二度と高速バスには乗るまいと誓った。

東京駅に移動して皇居の周りを色々と見て歩いた。最高裁判所、霞が関、国会議事堂などである。その日はちょうど旧民主党鳩山政権の組閣の日で、国会議事堂の周りが騒然としていた。議事堂のそばで鳥肌実を見かけて写真を撮った。一応芸能人である。この頃の鳥肌実は痩せていて格好良かった。

SONY DSC

観光以外の何物でもない。これらの観光は全て出張の時に行ってきた。しかしSNSには一度も投稿したことが無い。観光したのは集合時間より前のフリーな時間だ。フリーな時間とはいえ、出張の様子をSNSに上げることはタブーだ。

投稿してはならないという暗黙のルール

出張が遊びだと言ってはならないと言うことはつまり、出張で遊んでいる様子をSNSに投稿してもならないという事だ。これらの暗黙のルールは誰かに教えられたわけではなく、勝手に身についたものだ。

事件があった。ワタシが組合役員になった時はミクシーが全盛期だった。まだSNSという言葉もなかったと思う。ワタシと同じ組合役員の人間(どこの誰かは知らない 巨大組織だったため知らない人だらけである)が東京タワーで撮影した写真をミクシーに投稿したのだ。

それを見た組合員が組合本部にクレームを入れた。「組合費で遊んでるのか?」というクレームである。大問題となった。ミクシーに投稿した彼がどの様に処分されたのか、またどの様に問題の火消しをしたのかは知らない。

労働組合だから組合費で遊んでいるのか?となる。会社なら会社の金で遊んでいるのか?となるし、議員なら税金で遊んでいるのか?となる。

ワタシはそれを見て「出張の様子をインターネットに投稿してはならない」という事を覚えた。それ以来遵守していた。

ランドマークは人をのぼせさせる

今回の女性局炎上問題はエッフェル塔での写真撮影がきっかけの一つとなっていた。それをきっかけに東京タワーミクシー投稿事件を思い出したというわけだ。

エッフェル塔にしても東京タワーにしても、ランドマークを前にすると人間はのぼせ上がってしまうのかも知れない。「自分はこんな素敵な所に来る権利がある特別な人間なのだ」と。そして特別な人間である自分を他人から認めてもらいたい承認欲求が刺激されて写真をSNSに投稿するという行動に移させるのだろう。

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建前としては出張は旅行では無い。建前としては仕事という事になっている。実態としては遊びなのだが。しかしいくら遊びだと行っても表面上は仕事であると繕わなければならない

記念撮影をSNSに投稿するというのは「仕事であるという偽装」が完全に崩れてしまっている。「ワタシは遊んでいます」と自白してしまっている。炎上して当然なのだ。

出張に行きたくないと言え

あなたが出張するという情報が職場の同僚に漏れたとしよう。同僚から「出張だって?」と聞かれるかも知れない。その時には決して楽しみな感じを出してはならない。「だるい」「行きたくない」「替わってくれ」などとネガティブな感情を出すのが良い。

「出張」は遊びである。遊びであり権益である。誰でも出張できるわけではない。出張は限られたものが手にできる権益なのである。努力をして出世をしたり、経営者になったり、議員になったりしてようやく手にすることが出来るのが出張である。

しかしあなたが「出張」を手にしても決して忘れてはならないことが一つだけある。「写真をSNSに投稿してはならない」これだけである。これを守らなければ苦労して手にした権益を一瞬にして失うことになる。